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大津地方裁判所 昭和51年(わ)289号 判決

一、本店の所在地

滋賀県守山市水保町二、三六五番地

法人の名称

株式会社猪飼工務店

右代表者の氏名

猪飼太郎

二、本籍及び住居

同市水保町二、三六五番地

会社役員

猪飼真一

昭和七年三月四日生

出席検察官

宮森正昭

主文

被告人株式会社猪飼工務店を罰金八〇〇万円に、被告人猪飼真一を懲役八月に処する。

被告人猪飼真一に対し、この裁判確定の日から一年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社猪飼工務店は、滋賀県守山市水保町二、三六五番地に本店を置き、土木建築負請業、宅地造成及び土砂の販売等の事業を営むことを目的とする資本金三〇、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人猪飼真一は、被告会社の専務取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、同被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、昭和四八年七月一日から同四九年六月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額は四七、一二〇、一二一円で、これに対する法人税額は一七、一五七、二〇〇円であつたのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外する等の不正な行為により所得を秘匿したうえ、昭和四九年八月三〇日滋賀県草津市大路二丁目三番四五号所在の所轄草津税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二二、六〇〇、三四五円で、これに対する法人税額が七、四一五、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額九、七四一、七〇〇円を免れ

第二、昭和四九年七月一日から同五〇年六月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額は一三三、一六〇、二四二円で、これに対する法人税額は五〇、九三〇、五〇〇円であつたのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、架空原価を計上する等の不正な行為により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年八月三〇日前記草津税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五九、〇三一、七七七円で、これに対する法人税額が二一、三一〇、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額二九、六二〇、〇〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

一、登記官作成の登記簿謄本

一、猪飼康子、崎山明康、船越隆市、松倉豊の検察官に対する各供述調書

一、浦谷勝己の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官作成の被告会社提出の法人税確定申告書写(昭和四九年八月三〇日付、同五〇年八月三〇日付二通)及び被告人猪飼真一作成の昭和四八年六月事業年度分の修正申告書謄本

一、大蔵事務官及び国税査察官各作成の各査察官調査書七通

一、被告会社代表取締役猪飼太郎の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、被告人猪飼真一の大蔵事務官に対する各質問てん末書四通

一、同被告人作成の確認書

一、同被告人の当公判廷における供述

(法令の適用)

一、罰条 判示各所為につき、法人税法一五九条一項、二項(被告会社に対してはさらに同法一六四条一項)

一、刑の選択(被告人猪飼につき)判示各罪につき所定刑中懲役刑を選択

一、併合罪の加重 刑法四五条前段、被告会社に対し同法四八条二項、被告人猪飼に対し、同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

一、被告人猪飼に対する刑の執行猶予 同法二五条一項一号

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 坂詰幸次郎)

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